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さて、ワクワーク2019に出展いただく企業の人事担当の方々に、会社の事業内容や会社の特徴、今年の募集職種や求められる人物像についてお話をお聞きしていく本企画ですが、第4回となる今回は、『君の名は。』や『Peeping Life』など数々のオリジナルアニメ作品を手がけられてきた株式会社コミックス・ウェーブ・フィルム取締役 酒井雄一氏にインタビューさせていただきました。
オリジナルアニメに対する強いこだわりと作品制作以外のお仕事、制作進行を志望する学生に必要な資質から、インターンの具体的な中身まで幅広く語っていただきました。ぜひともご覧ください!
——まず、会社の事業についておきかせいただけますか。
酒井雄一氏(以下、酒井):
弊社はアニメーション制作会社としてアニメの映像制作を主にやっている会社です。ひとつの特徴としては、テレビシリーズというものはほとんどやっていないことがあげられます。具体的には、オリジナルアニメと劇場用作品をメインで作っています。
映像制作以外の分野では、自社作品のDVDやBlu-rayの販売についても自社で行っており、ビデオメーカーとしての側面もある会社です。さらに作品が劇場用作品であれば、配給も自社で担当するため、配給会社としての側面もあります。
映像制作、パッケージ制作・販売、配給、とこの3つの業務を主に1社で行っているのがコミックス・ウェーブ・フィルムという会社です。
——そういった複数の仕事を1社でやられるにあたり、どのように社内では役割分担がされるのでしょうか。
酒井:
基本的にはプロデューサーがほぼ1人で全部仕切ります。
『Peeping Life』『この男。』シリーズなどの作品は実際1人のプロデューサーが監督と一緒に企画を立ち上げ、映像が出来上がるまでの制作的な動きも行い、映像完成後は作品の宣伝や、販売店への案内などのビデオセールスまで全部対応しますし、劇場で上映するとなれば、配給も同じ担当がメインで行います。
とはいえ、作品の規模が大きくなると流石にプロデューサーが1人では仕切れないケースも出てきますので他社さまと協力し、進める場合もあります。『君の名は。』では配給、宣伝、ビデオセールスなど東宝様にご担当いただきました。
——他のアニメスタジオではあまりみられない方法ですね。
酒井:
そうですね。そもそもアニメの作り方が根本的に違っていることも大きいです。
弊社のオリジナルアニメの場合、クリエイターさんが自分で描いて自分で色を塗って、なんなら撮影や編集まで全部1人でやられる方たちと、作品を作っていくことが多いんです。
例えば、『この男。』シリーズは本当に1人の監督がすべて絵を描いて、キャラクターを動かして、色を塗り、撮影もして、と最初から最後まで作っています。この場合、スケジュール管理が主で、原画の回収や仕上げ、撮影入れなどという業務は発生しないのでプロデューサー職と兼任できたりするわけです。
——個人のクリエイターさんとのつながりが強い、ということでしょうか。
酒井:
そうですね。世に残すべき作品を生み出せる監督、僕らは作家と呼んだりするのですが、「作家さんが思い描いている作品を一緒に形にしていく」という点をずっと経営理念としている会社なんです。
現在弊社には所属監督が2人いまして、1人は新海誠、もう1人は『この男。』シリーズを作っている山本蒼美という女性監督です。新海誠は大きく羽ばたきましたので、次は山本監督を飛び立たせたいと思ってます。
もちろん所属している監督以外とも面白いことをやっていきたいなと思ってます。制作の体制としては、監督の方針によってまったく違う事も多いので、作品ごとにやり方を変えていく事が多いです。
——決まったフローがないがゆえに、個々人でしっかりと考えていかないといけないということですね。
酒井:
そうですね。
だからこそチャンスもたくさんあると思っています。弊社でいうところの制作進行という仕事は、映像制作のフローが作品ごとに違いますし、ビジネスまわりの仕事も内包しているので、かっちり決まったことを毎回同じように回して……とはなりません。それを面白いと思えるかどうかが、弊社ではとても重要だと思います。
——作家さんとはいつもどんなやりとりをされているのですか。
酒井:
作家さんとは、作品についてのやりとりがメインとなりますが、そういったコミュニケーションをしながら、どうやって作品を売っていくかの戦略を考えています。この作家さんに5年後、10年後どうなっていてほしいか、そのためにはどういうステップが必要か、という事も考えます。
——会社の構成的にはどのようになっていますか。
酒井:
立ち上げた当初は8名くらいだったのですが、現在は社員で30名くらいになりました。業務委託も含めると50名くらいになると思います。男女比は1:2で女性が多いです。
——職種ごとの人数構成比についてもお聞かせください。
酒井:
役員が社長含め4名、経理部が3名、制作部が5名、デザイン部4人、背景美術部は10名。CG部は2名、撮影部も1名。この市ヶ谷のオフィスとは別に、荻窪にも作画スタッフがメインで通っているスタジオがあり、そこには15名ほどが勤めています。
弊社は背景に力を入れていまして、特に新海誠の描く背景・美術の力を継承できるようにしていきたいと考えています。
社員の平均年齢としては35前後。ここ数年で新人を採用したため、以前より大分若くなりました。
——女性はどのくらいいらっしゃいますか。
酒井:
クリエイティブな部署には特に女性が多いですが全体としては、男10人、女20人くらいかと思います。
——御社ならではのポイントがございましたら教えてください。
酒井:
オリジナル作品に、非常にこだわっています。
作家さんの持つ魅力を最大化するため、映像表現の仕方も通常のアニメの技法にこだわることはありません。例えば、作家さんがFlashでの制作を望まれるのであれば、社内の工程もすべて合わせますし、全編背景のようなタッチで映像を作っていきたい、と言うのであればそのためにスタッフを調整することからはじめます。
一般的なアニメスタジオですと、各制作ラインの中でどうやって映像表現をしていくかという話になると思いますが、弊社はメインでテレビアニメを作っていないこともあり、ゼロから制作ラインを作るやり方をとることができます。フルCGから簡易CG、本格アニメから簡易アニメまで、すべて同じ会社が制作しているのは、非常に珍しいことかもしれませんね。だからこそではありますが、『Peeping Life』で弊社のことを知ってくださった方も、『君の名は。』にはイメージがつながらない(笑)
——なるほど(笑)