【つむぎ作画技術研究所が描く業界の未来】ー作画スタジオでビジネスをする <ワクワーク2020 出展企業インタビュー>ー

◆これから業界を支える人材とは

ーーホームページの人材募集の欄にも「未経験者求む」とありましたが、未経験者にフォーカスするのはなにか意図があるのでしょうか?

櫻井:

現状の絵の上手さよりも、アニメ制作を仕事として考えられる人に入社してもらいたいためです。自分にも見返りがあるから仕事をする、ぐらいの気持ちだと嬉しいです。だからこそ、弊社ではお金の話はしっかり行います。

ブラックだと問題視されるアニメーターの仕事ですが、やりかたによっては普通の生活水準まで持っていけるんです。アニメーターの仕事だけに生きなくてはいけない、という考えを持って欲しくはありません。まだ今のアニメ制作のやり方に染まりきっていない人こそ、きて欲しいです。

凄腕のアニメーターの中には、長時間労働でその域まで達した人もいます。その方法を否定するわけではありません。ですが同時に、長時間労働の結果、辞めていった人を多く見ています。弊社のやり方がアニメーターにとって新しい選択肢になれば嬉しいですね。

 

ーー入社する場合、雇用形態はどのようになるのでしょうか?

櫻井:

業務委託として契約します。理由は2つありまして、1つは本人の意思で辞めやすいため。もう1つは作業量の差で不公平にならないためです。

1点目について、アニメーターは技術職ですから作るのが好きな人でないと長続きしません。見るのが好きな人と作るのが好きな人は違います。入社してそれに気付いた時に、正社員だと辞めにくくなってしまうんです。貴重な時間を無駄にしないためにも、合わない人は早めに辞めたほうがいいと考えています。そのための業務委託契約になります。

2点目について、動画マンで稼ぐためには量をこなさなくてはいけません。一般的には1ヶ月で300枚くらいを目安に描きますが、1000枚くらい描く人もいるんです。固定給にすると、1000枚描いても300枚描いても同じ給料になり、頑張らなくなってしまいます。それは本人にとっても、会社にとってもよくないことですよね。

正社員でも育成ができる社風であればそういった制度を作りたいですが、今まで多くの会社が挑戦して失敗に終わっています。なので現在、弊社では正社員が2名、契約社員が2名、業務委託が9名になっています。

ーー会社にはどういった雰囲気の人が多いのでしょうか?

櫻井:

やはりオタクなスタッフが多いです。基本的な連絡はメッセンジャーで行なっているので、社交的でなくても問題ありません。むしろ体育会系だと苦労すると思います。

社員からの不満には耳を傾けるようにしています。キャパシティが多くない中で、限界まで作業をするのではなく、改善したいという雰囲気を会社全体で作り出しています。動画マンでも私に意見することがありますからね。

 

ーーアニメスタジオは東京の西側に多いというイメージがありますが、なぜ埼玉の川口を選ばれたのでしょうか?

櫻井:

デジタル作業なので場所を選ばないからです。制作進行のかたに直接素材を取りにきてもらう必要がないので、アニメーターが集中できる環境を選びました。

社内の業務はこれからも極力デジタルで、スキャンもなくしたいと考えています。東京にも事務所はありますが、窓口としての役割だけですね。来年には秋田にもスタジオを作る予定です。本社もそちらに移そうか検討中です。

また弊社ではデジタル化の一環として、制作進行とのやり取りも全て、社員全員が見れるメッセンジャーで行なっています。電話だと長時間になりがちですし、メッセンジャーであれば社員間での情報共有も簡単に行えます。

弊社の制作進行はアニメーターからのキャリアアップの一つです。下手な制作進行よりも知識はありますね。

 

ーー今までのアニメーターとは一味違った経験が得られることになりそうですね。最後にアニメ業界を志望する学生へのメッセージをお願いします。

櫻井:

アニメ業界の労働問題については色々と言われていますが、この仕事にはやるだけの魅力と価値があると思います。自分がこの変革の第一人者になるぐらいの気持ちで頑張ってください。ワクワーク当日、ぜひ弊社のブースでお待ちしています!

 

ーー貴重なお話、ありがとうございました!

 

つむぎ作画技術研究所では、通年でアニメーターを募集しています。連絡先はホームページに記載されておりますので、ご確認ください。

またお話にもあった、入社前に現場直結で絵の勉強をする方法として「アニメーター予備校」といった取り組みも始まっています。詳しくはこちらをご覧ください!

株式会社つむぎ作画技術研究所も出展するアニメ業界就職フェア「ワクワーク2020」の詳細はこちら!

 

<ライター:遠藤聡平 、 編集:数土直志 、撮影:中山英樹>