【ウィットスタジオに潜入取材!アニメ業界を目指す若者たちへ】 ―作画にこだわり、アニメーターのこれからを考える人が働く現場<ワクワーク2020 出展企業インタビュー>―

◆“原画と動画” アニメーターのこれからを考えて

――御社ではアニメーターの入り口に「原画」を設けていますが、その意図をお聞かせください。

手塚:

数年前までは動画として入社して、何年か経験を積み原画になる流れでしたが、2年前の採用から「原画」と「デジタル動画仕上」に分けました。

その経緯の一つは、動画で採用した人たちが、2年ごとに原画になると、動画は常に人材不足で人数を確保できないからです。

また動画の地位をあげたいと考えたときに、動画は原画の入り口という捉え方だと、どうしても半人前のようなポジションになってしまいます。

原画を描ける人は、動画の時からすでにかなり描く力があります。もちろん動画で覚えられることもたくさんありますが、原画のスキルと動画のスキルは、完全にリンクはしていないのではないかという思いがありました。そういう慣例をやめたくて、原画と動画の採用を切り離しました。

――なぜ今までは、動画職からアニメーターとしてスタートする場合が多かったのでしょうか。

手塚:

昔は、動画はアニメーターとしての登竜門に十分なり得ました。動画の裁量に任される部分が大きくて、自分で動きを描く領分を持っていたからです。

ですが近年では、それぞれが専門的になり、動画の仕事が、割る(原画と原画の間をつなぐ絵を描く)だけになってきています。

作品にもよりますが、「演出の意図が変わってしまうことはしない」「間に線が入っていればよい」「目パチやつぶしを勝手にやらない」と言われることが増え、動画は絵を動かすポジションではなくなりつつあります。他方で、原画はより多くしっかりと動かすことが求められるようになりました。

 

――動画からはじめることが、必ずしも原画としての成長につながるわけではないということでしょうか。

手塚:

動画を何年か経験したら、動きを覚えていい原画になれるという昔のような体制ではなくなりつつあると考えています。

そういう意味では、今の弊社の採用は、受ける人にとっては難しいとも思います。専門学校生たちは、「動画」の描き方を学んで来るのに対して、弊社は「原画」の描き方を覚えてきて欲しいと求めているからです。

昨年はそこをカバーするために、原画講習会を行いました。

 

――「原画講習会」とはどういうものなのですか。

手塚:

弊社で働くアニメーターが講師を務める、社外に向けた講習会です。アニメーター志望の人に、学生時代に原画を描いておくことの大切さを知ってもらい、もっと原画に触れてもらう機会を提供できたらという意図で開催しています。

 

――背景は原画のかたが描かれているのでしょうか。

浅野:

背景の原図を描くのは、原画の仕事です。美術スタッフに出す前のレイアウトには、キャラクターと背景が描いてあるのですが、鉛筆やペンタブレットを使用し、アニメーターが描いてます。

 

――デジタル動画仕上げ職についてですが、特殊効果や色彩など、作品の最終工程も担う役職との認識でよろしいでしょうか。

手塚:

現状は動画までの場合が多いです。主に仕上げスタッフに渡すための動画素材を作ります。今後は、仕上げまでの作業もできればと考えています。

 

――入社後はどのように仕事を覚えていくのでしょうか。

手塚:

「歩き・走り・振り向き・なびき」は単純に間に正確な線を引ければできるというものではないです。ですから、最初の2ヶ月間は研修期間をとり、きっちりと教えた上で、最低1年間は先輩アニメーターがチェックをします。その時にわからない部分を教えたり、足りないところを指摘していきます。

 

――デジタル動画仕上げ職では、今後はどのようなポジションに就く可能性があるのでしょうか。

 手塚:

取り組み始めてまだ2年なので実例はありませんが、今後は、動画検査や原画の他に、色に興味がある人がいれば色指定や仕上げというキャリアプランも、十分考えられるようになりました。

 

――なぜ、選択肢が増えたのでしょうか。

 手塚:

今まで紙の動画ですと、仕上げからスキャンが必要になり、コンピュータ上で色を塗るなど、そこから使うツールがデジタルに変わっていました。ですが、紙で動画を一生懸命に描いてもパソコンが使えるようになるわけではないので、これらの仕事は地続きになりません。

一方で、動画をパソコンで作業するスタイルに変えることで、仕上げの領域やリテイクにまで関われるようになったのです。

◆応募者の得意をもっと知りたい!

――アニメーター志望の学生のポートフォリオには、どんな内容を求めていますか。

浅野:

採用を長く担当して、その人がどういう絵を得意としているかを知りたいと感じます。「この人は女の子を描くのが大好きなんだな」「メカが得意なんだろうな」というのを、ポートフォリオをみればわかることです。不得意なものも描いて、いろいろな絵が満遍なく入っているよりは、自分の得意分野にうまく絞る方が良いのではないでしょうか。

手塚:

ポートフォリオをみていて、勿体無いなと感じることがあります。自分を採用してもらいたいはずなので、一番の強みであり得意な部分を、相手にアピールするべきです。

 

――技術的な観点で、重視されるところはありますか。

手塚:

「アニメーターという職業に就職したいのだ」と理解する必要があります。イラストレーターなら、その人の味が出た絵を描くことができればいいかもしれません。それに対して、アニメーターはフィルム(映像)を作らなければいけません。どんなにいい絵を描くことができても、美術スタッフに伝わる空間を原図で描く能力がなければいけないはずです。

パース(空間把握)など、基本の共通言語はわかっていないと仕事は成立しません。背景付きのイラストを入れると、「この人はよくわかっているから、そのままスムーズに仕事に移行できそうだな」とこちらは感じることが出来ます。

 

――デジタルで描いた絵をポートフォリオに入れる学生は、増えているのでしょうか。

浅野:

ポートフォリオの作り方は、学校側の指導によると思います。いくつかの会社を受けることを想定していますから、紙に作画したものをファイルに入れた形がほとんどです。

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