第一回W@KU WORK mini イベントレポート(中編)

三木:そして自己分析です。自分がやりたいこと・得意なことが人それぞれにあると思います。自分がやっていて飽きないこと、人から文句をいわれようがやり続けたいと思うものってなんだろう、と突き詰めて考えることも自己分析の方法としては有効です。

クリエイティブな話としては、例えば絵を描くことは出来る、でも物語を考えることは出来ない、だったり、ストーリー漫画を書き上げることは出来ないけど、四コマ漫画もしくは一コマ漫画のようなものは描ける、とか。小説にしても、ゼロから単行本のボリュームは無理でも、キャラクターの二次創作でコンテンツを作ることは出来る、など、自分自身が持っているそういったスキルをどの業界だったら特技として活かすことが出来るのか、を考える。裏を返せば、今自分自身が持っているスキルがハマる市場は必ずあって、そこをターゲットとしている会社を志望するというのが必要です。

僕自身の実例をお話すると、僕は理工学部の出身だったので知り合いはNTTデータやIBM、KENWOOD、オリンパス、種子島宇宙センターなどに就職しました。なんでそういう会社を僕が志望しなかったかというと、入ったらついていけなくてすぐに辞めるだろうなと思ったからです。プログラマーの世界は天才と呼ばれる人たちがたくさんいて、そういった才能を目の前にするととてもじゃないけど勝てないなと気づいてしまったんですね。そういうわけで僕はいつも教室の後ろのほうでジャンプを読んでいました。

一同笑

三木:そういった背景もあり一生に一度の挑戦をしてみました。もともと漫画や音楽が好きだったのでマスコミ業界を志望してみようと思ったわけです。そこでいくと先ほどの話、僕は漫画を描いたこともなければ、ゲームもアニメも音楽も作ったことがない。唯一あったカードが学歴でした。このカードをどうやって使って業界に潜り込むか、ということを考えました。

いろいろと考えたのですが、漫画が好きだったのでコミック誌を持っている出版社を志望することにしました。

こうやって話すとおわかりかもしれないんですが、先ほどの話に当てはめれば僕は一番何も考えていない人間でした。唯一といえる学歴というカードを使ってエンタメ業界に潜り込んで、入った後に自分の志望するジャンルに部署異動すればいいや、と考えていました。スタートラインという点で言えば、すでに皆さんはエンタメ業界に入りたいとすでに決めていらっしゃるので、僕が就活を始めたときよりも先に行っています。なので先程のマッチングを意識して就活をしてもらえれば良いのではないかなと思います。

三木:最後ですね。クリエイター志望の方について言えるのは、とりあえず発表をすることが大事、ということです。今の御時世ならネットなどで広がるときは広がりますし、そうでなかった場合は反応としてどうしてダメだったかもわかります。クリエイターさんは、マーケットのことは一旦置いておいて、自分自身が描きたいもの・好きなものをとにかく発表する、ということを心がけてもらえるといいと思います。人の目に触れれば、自ずと答えは出ます。もちろんアニメを作りたい、という場合はアニメスタジオに入るというのが王道だと思いますが、もうちょっと独立性の高い方向を志望する場合はとにかく人に見せることを意識してください。

三木:適正についてですが、クリエイター・ディレクターに共通して言えることは、取材する気持ちを持っている人はエンタメ業界に向いています。何か出来事が起きた時に、その裏に隠れているからくりに目が行く人がいいです。クリエイターさんだったらその気持は作品のリアリティに繋がるだろうし、ディレクターだったら打ち合わせの際の提案に繋がります。

中山:「なぜ?」ということを突き詰められるか、ということでしょうか。

三木:例としては、伊勢志摩サミットの影響を受けて、株価が上がる会社ってどこだっけ、下がる会社はどこだっけ、と考えたりするといいですね。考えていくうえで必ず、サミットのどの部分の影響を受けてどの会社の株価が上がるのか、という考察に行き着くはずなんです。オバマ大統領が折り鶴を折ったというニュースを受けて、折り紙のメーカーは株価が上がるかもしれないな、とか。続けていくと多角的に物事を考えることの特訓になります。

受け手の気持ちになることについてですが、やっぱり長く業界にいると盲目になるんですよ。完全に受け手側の気持ちを持つことは出来ないんですが、それでも言えるのは読者の気持ちを意識するかしないかで全然違いますね。僕自身未だにそれができていないですし。でも気付けていないかもと認識するだけでも違うと思います。自分で気付けないなら他の人に意見を聞こうという選択肢が生まれますからね。

三木:次にクリエイター・ディレクターそれぞれの適正ですね。

まずクリエイターですが、周りに流されない人、という条件はやっぱり重要です。作品に対して周りからいろいろと言われることがあると思うのですが、それでもやっぱりココが大事だと自分の中で思っているのであれば、それは絶対に変えないほうがいいです。決めるのはすべて自分だという意識であって欲しいし、仮に誰かの意見を受け入れるにしてもその判断も含めそれは自分の意見だと納得の上で決断して欲しいですね。自分で決める、という覚悟を持つことが大事じゃないかなと思います。

二番目の物事のコストを考えられない人、というのもとても大事です。ここで言うコストというのはお金と時間と労力を合わせたものですが、それらを一切気にしないで「いや、これいいと思ったんで書いてきちゃいました」と原稿を上げてくる作家さんがいらっしゃるんです。こちらとしては対価に見合わない仕事をしていただいているので本当に恐縮してしまうのですが、「全然いいですよ、気にしないでください」という方が結構いらっしゃって。こういう方は、結果的に成功しているクリエイターさんに多いタイプです。

これを受けて、ディレクター、編集者、プロデューサーは、物事のコストを常に計算できる人でないといけません。そうしないとプロジェクトが破綻し、みんなに迷惑を掛けてしまいますから。だからさっきの作家さんの話に対しては、「申し訳ないのでしっかりと対価はお支払いしますよ」、もしくは「次回からは一声お声掛け下さいね」といったコミュニケーションで、クリエイターさんの創作をコントロールすることが必要です。

中山:最後にディレクターにとっての一般常識という点についてはいかがでしょう。

三木:これは本当に大切です。多くの人とコミュニケーションを取る仕事なので、周りから悪印象を持たれるだけで仕事が立ち行かなくなることなんてザラです。この業界は人間関係の上に成り立っていて、つまりは善意に頼っている部分が多分にあります。人という部分に依存している業界の中で、一般常識がないがゆえに失礼なことを言ったりしてプロジェクトが回らなくなると全く意味が無いし、個人としてどれだけ優れていたとしてもそんな人はプロデューサーとして失格ですよね。乱暴な口ぶりは使わないとか、メールの文面はできるだけ丁寧に、とかその程度のことは最低限意識できる人でないといけないです。そういう点では、接客のアルバイト業務は一般常識を学ぶためには有効です。例えば居酒屋のホールは、毎日のように酔っ払いの対応をするわけじゃないですか。酔っている客は最もクレームをつけてくる客なので、そんな環境の中で頭を下げ続けることが出来たら、エンタメ業界で働くことの適性はすでに出来ていると思います。

中山:一般常識という言葉としては、教養の部分、というよりマナーや礼節が重要ですよ、ということですね。

三木:そうですね、マナーの部分ですね。

中山:最後のスライドです。

三木:クリエイター・ディレクターそれぞれに有利に働くスキルですが、クリエイターは実力しかないです。だから書いてください。僕の知り合いの週刊漫画雑誌の編集が言っていたのですが、持ち込みに来る人達の対応をする際、気にするのが描いている量なんです。いろいろと有益なアドバイスはするものの、とにかくみんな描くボリュームが足りていない、と。描いていないけれど、こういうことをやりたいという風にアイディアを語るんだそうです。

当たり前ですが、持ち込みの方たちがそうやって立ち止まっているうちにプロは連載を抱えて毎週十数ページの原稿を完成させていくわけです。プロがそのペースで成長していっているのに、新人のあなたがそれ以上のことをせずプロに勝てるわけなんかないですよね、というのが真理かなと。実力をつけるための特別な近道はなくて、やはりたくさん数をこなすしかないと僕は思います。

もちろん才能があったら話は別です。ただ才能がなかったとしても、書きたいという気持ちを糧に成功した人は山ほどいます。努力することは才能に打ち勝つための有効な武器です。ですのでぜひ数を沢山こなしてください。

ディレクターを目指す人についてですが、潜りこむだけだったらやはり学歴は有効ですね。これは日本の採用システム上仕方がない。もしくは専門的な資格や公的に保証されている知識ですね。例えば公認会計士の資格を持っている人間が編集部に応募してきたら、とりあえずは面白そうじゃんって注目はされますよね。

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