【企業研究 第一回】ピクシブとはなんの会社なのか? これからの10年に必要な人材論 <後編>

──お話をお聞きしていると、そういった苦労もありつつ、一方でやりがいも大変あったかと思うのですが、そこから新たに転職された理由はどういったところだったのでしょうか。

丸山:
 理由はシンプルで、現場でもう一度働きたいと思ったからです。チームとして10名の規模になると、現場として働く比重よりも、メンバーのマネジメントの比重が大きくなってきます。そういった環境についていろいろと考えた結果たどりついたのは、自分はやはり現場で働くことが好きだ、という事実でした。会社が大きく成長する過程に立ち会い、多くのことを学ばせていただいたこともあり、その学んだものを活かして今一度現場で働く機会を得たいなと、6年間務めたその会社からピクシブに転職しました。

──転職先としてピクシブを選ばれたきっかけを教えていただけますでしょうか。

丸山:
 ゲーム系の会社で働いていたこともあり、「優秀なイラストレーターさんをpixivで探している」という話を制作者から聞いて、pixivの存在はpixivができた頃から知っていました。転職するにあたり、いろいろと会社を見ていたのですがピンとくる会社が中々ないなか、ピクシブのことを思い出して、ネットで調べてみたら、社員数も40人くらいで、伸び盛りな印象を受けました。「ああ、ここで働けたら楽しそうだな」と思っていたら、ちょうどそのタイミングでスカウト会社から「ピクシブという会社が人事を募集してるけど受けてみませんか」と声をかけていただいて、「これだ!」と思い、すぐに応募しました。採用面接の場で、当時代表の片桐と実際に顔を合わせたのですが、前職のゲーム会社の代表とは真逆のタイプであることがその場でわかり、これは面白いと思ったのを覚えています。その後採用となり、ピクシブに勤めることになりました。それが2013年です。

──真逆と感じられたのはどういった理由からなのでしょうか。

丸山:
前職ではアイデアベースで議論するというよりは、データや市場が何を望むという裏付けを重視し、提案書を作成した上で議論を始めるというスタイルでした。ロジカルに分析し資料を作って提案するというスタイルはとても勉強になったのは事実です。
 しかし、片桐とあったときにすぐにわかったのは、もちろんそういうデータも見るのですが、面白いかどうかを基準として判断している、ということだったんです。僕が入社した当初の話が象徴的なのですが、前職のやり方にのっとって、提案書を書いて片桐に提出したところ、返ってきた答えは「丸さん(丸山さんのニックネーム)、こういう書類を作る時間がもったいないので、アイディアを思いついたらその瞬間、僕に伝えてほしい」でした(笑)

──(笑)

丸山:
 ピクシブは、「それ、面白い!」と誰もの心に訴えかけられるように語ろう、という文化が根づいている会社であるといえます。だからこそ「ひらめき」や「アイディア」を大事にする。そこが前職と明確に違うポイントかなと思います。

──入社当初、ピクシブはどれくらいの規模感だったのでしょうか。

丸山:
 全体で50人規模でした。

──前職のゲーム会社に転職された際の会社の規模感と同じくらいですね。前職のゲーム会社が最終的には400名に成長したとのことですが、ピクシブに入社された際、どういった成長曲線を描いていくのか、ある程度めどは立っていたのでしょうか。

丸山:
 いえ、まったくそういった目標値はありませんでした。正確に言えば、現在もそういった人事戦略的なロードマップはとくに存在していないんです。今でこそ、たくさんのサービスを提供しているピクシブですが、当時のサービスはpixivのみでした。その当時から今にいたるまで、会社としてのミッションはあるものの、売上目標や経営マップはなく、したがって人事的に社員は何人いるべきだ、という考え方もしていません。現在は社員数が150程度まで増えましたが、これも「良い人」に入っていただく、ということを繰り返していたら今の数字になった、という感じです。

──現在の社員の方々の平均年齢と男女比、職種の人数比をおきかせいただけますか。

丸山:
 平均年齢は29歳です。男女比と職種ですが、全体の6割がエンジニアで、そのほとんどが男性です。それ以外のビジネス職種も含めると、男女比はだいたい7:3です。

──先日の「pixiv MEETUP -10th ANNIVERSARY-」にお招きいただくまで大変お恥ずかしながら、イラストレーターの方々がたくさんいらっしゃる会社だと認識していたのですが、こうやってお聞きすると、やはりエンジニアの方々が主体となっている会社なのですか。

丸山:
 もちろんエンジニアが主体的となってくれていますが、技術職とビジネス職がそれぞれ自分の分野で活躍してくれています。僕自身、いまだに学生の方から「絵が描けないんですけど、ピクシブで働くことはできますか」「アニメや漫画にくわしくないと入社できないんですか」という質問をいただくことがありますので、そういったイメージを払拭する施策という側面も「pixiv MEETUP -10th ANNIVERSARY-」にはありました。改めてお伝えしますが、絵が描けなくても、漫画にくわしくなくても、採用に関しては全く問題ありません。

──エンジニアの採用については、やはりテクノロジーに関しての理解はないと難しいという側面はあるのでしょうか。

丸山:
 技術職を志望されるのであれば、やはりテクノロジーに関するスキルは必須となります。ただそれだけではなく、プロダクト志向やチームで作っていくという人間関係の構築ができるかなどをみています。

──技術職以外にも採用はされているのですか。

丸山:
 ビジネス職、いわゆるサービスを俯瞰して、エンジニアリングとデザイン以外のすべての業務を行うプロダクトマネージャー(PM)や営業職といった職種ついても採用は行っております。こういった職種であればプログラミング経験の有無が採用基準となることはありません。とはいえ、技術に関する興味はもちろんあったほうがよいですね。

──人材を見る上で技術や人柄、大きくわけて2つに大別されるかと思うのですが、ピクシブではどちらを重要視されるのでしょうか。

丸山:
 僕が、というより会社としての方針なのですが、人柄と技術がともに揃ってないと駄目、というのが採用条件です。そのうち技術の点については、エンジニアがしっかりと見てくれるので、僕自身としては人柄の部分に注力しますが、その中でも3つの要素「◯◯博士」「◯◯職人」「やさしい人」を特に見ています。

 「◯◯博士」「◯◯職人」というのは似ていて、誰にも負けない知識・経験があるということです。それは必ずしも、アニメや漫画などピクシブの業務に直結していることでなくても大丈夫です。例えば、動物や旅行、スポーツなどでも全然いいんです。重要なのは、自分の中で、そういった強い興味が湧くポイントがある人のほうが、会社に入ってもらったあとも仕事にのめり込んでもらえるのではないか、ということです。

 「やさしい人」というのは、会社としてチームワークを重要視していることから来ています。ピクシブは小さいチーム体制で、日々活発なコミュニケーションが必要とされる中、チームの和を大事にしてくれる人に入っていただきたいと思っています。具体的には、いくつかの要素が含まれるのですが、例えば「人の意見に対して否定的にならない」ということ。会議で他の人の意見に対して冷たく当たることは、仮にその意見が的はずれだったとしてもピクシブという会社においては望ましくないです。「そのアイディア、もっとこうした方がよくなるんじゃない?」など、建設的に意見を展開していくことで、どんどん意見が言いやすくなるので、そういう和を大切にする人に来てもらいたいですね。ただ、これは意見の衝突を避けることとも違います。真剣にアイディアを形にしていく上で意見がぶつかってしまうことは必ずあります。ただ、その場合であっても全員が「ユーザーを幸せにするためになにをすべきか」という基準で考えているので、最終的に議論は噛み合うんです。

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