【企業研究 第一回】ピクシブとはなんの会社なのか? これからの10年に必要な人材論 <後編>

 前編ではピクシブ10周年記念イベント「pixiv MEETUP -10th ANNIVERSARY-」の内容をもとに、ピクシブとはどういった会社なのかを紐解いていきました。10年という歴史の中でぶつかった課題や、現在にいたるまでのサービスの遍歴、そしてエンジニアを主体とした機動力のあるチーム作りなど、大変多くのポイントがあったのではないかと思います。

 後編となる本記事では、現在ピクシブ株式会社にて人事を担当されている執行役員・コーポレート本部長 丸山大輔さんにインタビューをさせていただき、より詳しく「ピクシブにおける人事戦略」について取り上げさせていただきます。

──まず最初に、丸山さんがピクシブで働かれるようになったきっかけを教えていただけますでしょうか。

丸山大輔さん(以下、丸山):
 もともとピクシブにくる前は全然畑違いの会社で働いていました。新卒で入った会社では営業が主な仕事でしたね。自分としては当時から人事として働きたいと思っていたので、入社当初から「人事職を志望している」と各所に伝えていました。ただこういった採用はタイミングもあります。人事部は当時人が足りていたこともあり、営業職として働くことになりました。
 その会社では年に一度、転属希望先を上司に願い出るタイミングがあるのですが、その後も「人事部」と書き続けました。入社から3、4年経ち、営業職として実績を積み、そろそろ転属が認められるタイミングかなと個人的には考えていたのですが、「経験を積んだ営業マンは部署的に貴重な戦力なので、他の部に異動させる訳にはいかない」となりまして(笑)

──それは、たしかにそうなりますよね(笑) ちなみに人事職をずっと目指されていたとのことですが、それはどういった動機からなのでしょうか。

丸山:
 実は小学3年生の頃からずっとボーイスカウトをやっていて、大学生の頃は隊長として、毎週末のボーイスカウトの活動で、小学3年生から5年生の子どもたちを取りまとめていました。さらに年に数回、キャンプでは200人〜300人を引率することになります。そのときに、「何を」「どうやって」教えるかで、子どもたちの反応が全然違う、ということを体験しました。正しい教え方をすればすぐにできるようになるのに、教え方を間違えると全然ピンとこない。そういった原体験の中で、人を成長させることの楽しさにどんどん興味が膨らんでいき、就職期に差し掛かる頃には人事として働きたいと思うようになっていました。

──そうなると、当然人事を募集している会社を中心ににエントリーをされた、ということですね。

丸山:
 いえ、当時は就職氷河期だったこともあり、正直選べる状況ではなかった。ですので、総合職採用をしている会社にエントリーをして、入社後、人事職として働けたら良いなと考えていました。企業ジャンルについても、いろいろ受けました。ただ、漠然とながら、いろいろな業界に携われる仕事をしたいなとは思っていたのは覚えています。最終的に自動車のリース会社に就職しましたが、自動車はどの業界も使うじゃないですか。仕事の中でいろいろなクライアントに出会うことができる、という点で自分にあった業界に就職できたと思っています。

──そういった中で、転職を考えられたのはなぜでしょうか。

丸山:
 営業職自体、嫌いなわけではなかったのでつらいと思ったことはなかったです。ただ社内を見渡すと、非常に大きな会社の子会社だったこともあり、役員のほとんどは親会社からくる方で占められていました。会社組織としても、自分が何歳の時に課長になって、部長になって、というステップが自然と見えてくる。人によっては「未来が安定している」ととらえることも出来ると思いますが、個人的には「このまま見えるレールの上を走っているだけでいいのかな」と感じました。

 当時20代だったこともあり、自分自身でやりたいことを一から切り開きたい、挑戦したいと思ったことを覚えています。そこで、入社当時からやりたいと思っていた人事職に挑戦するなら今しかないと考え、転職活動を開始しました。とはいえ、営業経験しかない人間がいきなり人事につけるわけもないと考えたので、転職をする前に社会保険労務士の資格を取得することにしました。資格をとることで人事職が約束されるわけではないですが、少なくとも「本気で人事をやりたい」という思いを伝える方法にはなるだろうと思ったんです。結局、資格を取るのに2年間かかりましたが、資格を取れたそのタイミングで6年務めた会社を退職、その流れでモバイルのゲームをつくる会社の人事として転職しました。

──転職するにあたり、どのような会社を志望されたのでしょうか。

丸山:
 人事という仕事も、会社の規模感によってバラバラです。ひとりで全部を見る場合もあれば、採用担当、労務担当のように個別の内容に特化する場合もあります。僕自身としては、会社における人事関連の仕事を全部をやってみたかったので、志望先は自然と人事部の人数が少ないベンチャー中心となりました。
 ご縁をいただいて、次にゲーム会社に勤めることになったのですが、当時人事部は僕を含めメンバーふたり、全体の社員数としても50名程度でした。そこから、採用や評価などの人事制度を構築し、労務や研修まで一通りの人事業務を担当しました。最終的にその会社をやめるころには社員数も400名にふくらみ、人事部としても僕の下にメンバーが10名もいる規模になっていました。

──人事としての経験がない中で、一から人事のお仕事をはじめられたわけですが、どのように経験のない中、人事の仕事をキャッチアップされていったのでしょうか。

丸山:
 入社当時は、上司がそのまま会社の副社長でしたので、副社長が望むビジョンを実現するためになにをすべきか、ひたすら考えました。考えるだけで答えがでなければ、本を読み、社員の生の声を聞くために飲みに行ったり。手探りではありましたが、ゼロから会社の仕組み・制度を作っていくことを経験できたことは、とても大きな財産となりましたし、今の仕事にも生きています。

──そういった、ゼロからはじめるにあたり、心に残っている仕事がございましたら教えてください。

丸山:
 新卒採用の仕組みについては、最終的にすごくよいものにできたのではないかと思います。ベースは大手の新卒採用サービスを使用するのですが、当時はまだそれほど一般的ではなかったインターン制度を設けたり、採用にあたり明確な方針があったので、その方針に沿った学生が集まりやすい広報をおこなったり、できることにはとことん取り組みました。幸い、創業メンバーの副社長が人事面もそれまで見ていたこともあり、相談相手には困りませんでした。

──チームメンバーが増えていく過程で、チームマネジメントも仕事として大きくなっていくと思うのですが、その中で苦労されたことはございますか。

丸山:
 適切な仕事量を各メンバーに任せる事自体はそこまで苦労せずに出来たのですが、そこからもう一歩、メンバーが自主的にプラスアルファの仕事までしてくれるよう、モチベーションを高めることには苦労しました。自分自身が前職でプレイヤーをがっちりやっていただけに、若手のメンバーに「なんでこんなにこの仕事に時間がかかってしまうんだろう?」とか「もっと効率的に仕事はできないかな?」と思ってしまうんですよね。
 今にして思えば、メンバーに寄り添って、意見を積極的に拾い上げていれば、もうちょっとできることはあったんじゃないかなとも思います。チームマネジメントを経験したのも前職がはじめてだったので、そういう点でも得難い機会を与えていただいたと思いますね。

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