【企業研究 第二回】P.A. WORKSに学ぶコンテンツツーリズムの今 PARUS・菊池代表が考える地方創生に必要な人材とは

 2017年10月8日(日)、金沢県湯涌温泉にて「第7回湯涌ぼんぼり祭り」が開催されました。ぼんぼり祭りのクライマックスとなる「ぼんぼり巡行」ではその姿をひと目見ようと路上に数え切れないほどの人が押し寄せます。決して交通の便が良いとはいえない湯涌温泉に約1万5000人が訪れ、温泉街一帯が熱気に包まれるその光景は圧巻です。

 第7回とあるように、湯涌ぼんぼり祭りは6年前、2011年に放送されたテレビアニメ『花咲くいろは』の劇中に登場する架空のお祭り「ぼんぼり祭り」を題材として開催されたもの。アニメ自体は6年前に放送が終了したにも関わらず、第1回の開催以降、来場者数が増え続けている点では稀有な事例と言えるのではないでしょうか。アニメのファンが地域のファンにもなり、リピーターとして定着したことの裏付けともいえます。

 そして、その翌日の10月9日(月・祝)には、富山県南砺市とテレビアニメ『サクラクエスト』の劇中に登場する都市・間野山市が姉妹都市締結の調印式を行いました。実際に存在する町と、アニメの中に登場する架空の町が姉妹都市として関係をもつことは大変珍しく、イベント会場には多くのファンとメディアが押し寄せました。

 アニメファンであれば、両作品の名前を聞いてピンとくる方も多いかと思いますが、『花咲くいろは』『サクラクエスト』はともにアニメ制作スタジオのP.A. WORKSが手がけた作品です。今回P.A. WORKS本社にて、P.A. WORKS専務取締役・一般社団法人PARUS 代表理事 菊池宣広さんに「コンテンツツーリズム業界で働くことの醍醐味」についてお話をうかがいました。

──本日はお時間をいただき、誠にありがとうございます!まず最初に、菊池さんがアニメ業界に携わられるようになった経緯をお教えいただけますでしょうか。

菊池宣広さん(以下、菊池):
 きっかけはすごくシンプルで、P.A. WORKS代表取締役の堀川憲司と富山大学時代の友人だったというつながりを通じて、です。大学時代、堀川とは同じ児童文化系サークルに入っており、その当時からの付き合いです。

 彼はアニメの仕事を志し、大学を中退して、専門学校に入り直して、都内のアニメ制作会社でプロデューサーとして働いていたのですが、年に一度は会って食事などをしていました。彼は以前から家族と「子供が小学生になるタイミングで富山に帰る」という約束をしており、今のP.A. WORKS(当時は越中動画本舗)創業の一年前くらいでしょうか。一緒に食事をする機会があり、手がけていた作品も区切りがついたので、その機会にその約束を律儀に守って富山に戻ってくる、という話でした。

 当時、アニメ業界を知らないながらも、アニメの有名な制作スタジオに勤務していることは知っていたので、「そんなもったいない、東京に残ったら?」とアドバイスしようと思っていたんです、最初は。ただよくよく考えると、アニメーションってソフトを扱う商売だということに気づいたんです。当時私自身は通販雑誌の商品開発をする仕事をしていたのですが、商品はモノなのでやはり地方での展開に限界を感じていました。それと比べると、アニメの仕事は地方でやるにしても、もっと様々な可能性がある分野に思えてきて、いつのまにか「頑張れ!!」と背中を押していました(笑)
 よく例に出して言いますが、アニメは「紙」と「鉛筆」、そして「コンピューター」があれば仕事はできるわけです。アフレコやポストプロダクションのような後工程は、関連会社や役者さんたちに近い東京でなくては難しい側面はありますが、それ以外の工程については富山でも行うことはできる。またアニメーションという特性上、日本国内のみならず海外にも発信することができる。だとしたら富山で挑戦することも、そうだいそれた話ではないなと思えたのです。

──そうした流れで実際に堀川さんが富山でP.A. WORKSを立ち上げられたのですね。P.A. WORKSが設立して以降、菊池さんはどのように関わられていたのでしょうか。

菊池:
 P.A. WORKSが設立されたのは2000年なのですが、最初の頃は友人として週に一度会社に顔を出しては堀川の相談にのる、いわばアドバイザーのような形で関わっていました。具体的には、会社を運営していく上での相談事が多かったですね。堀川はプロデューサーとしての経験はありましたが、会社を起こすのはその時がはじめてでしたので。
 そうして関わりはじめたP.A. WORKSですが、それ以降、週一のペースが週二になり、週三になり、最終的に2002年からは常勤で働くようになりました。ただ仕事の内容としては、しばらくは総務的な「会社作り」の仕事がほとんどで、「作品作り」に携わるようなことはなかったです。

 転機となったのは『ture tears』で、そのときはじめてアニメの現場に、行政や街との連携をする窓口として携わるようになりました。作品のモデルとしてP.A. WORKSのある城端(じょうはな)などを舞台モデルにすると決まり、取材をするための許可申請や調整をするようになりました。実は、この関係性は大学のサークルの頃から一緒で、人形劇や児童劇をやるにあたり堀川はどちらかというと大道具担当などの裏方、私は公演場所を探したりする営業・交渉担当。遠征する時の宿泊施設を決めるために、現地の人と交渉して安く泊めてもらったりするのなんかも、今とあんまり変わらないですね(笑)

──アニメの制作現場にもそうした形で携わられていかれた中で、PARUSを設立されるにいたった経緯を教えていただけますでしょうか。

菊池:
 今回『サクラクエスト』という作品では、南砺市とコラボレーションをさせていただきましたが、それ以前からP.A. WORKSの作品として京都や石川、福井など多くの地域の方々とご一緒してきました。そうした地域の方々とお仕事をさせていただく中で、他のいろんな地域のみなさんからも「アニメを通した地域活性」についてご相談をいただくことも増えてきました。

 P.A. WORKSとしての関わり方が、アニメ作品ありきなので当然そういったご相談になることはわかるのですが、私自身としては地域を盛り上げる方法論としてアニメ以外のコンテンツもあるのではないかと思っていましたし、場合によっては地域の方が気づいていないだけで、アニメよりも良い方法があったりするかもしれない。そうした思いから、アニメを作るP.A. WORKSとは別に、アニメ以外も含む、コンテンツ全般を通して町おこしに携わるための受け皿としてPARUS(一般社団法人 地域発新力研究支援センター Produce Area Reserch & Utility Support center)を設立しました。パルスという名前には「pulse」、つまり「地域の魅力を発信する」という意味も込めています。

──P.A. WORKSとPARUSの関係と、PARUSの具体的な仕事内容をおきかせいただけますでしょうか。

菊池:
 基本はグループの一社という立ち位置です。ただ一般社団法人ですので、P.A. WORKSの子会社、というわけでもなく、互いにそれぞれ違う分野の活動もおこないつつも、よい連携を産んでいければいいなと考えています。
 具体的な仕事についてお話しますと、現状は映像にひもづく仕事が多いです。メインとなるのはやはりP.A. WORKSの作品関連の仕事ですが、それ以外では例えば東京国際映画祭や港区の映画祭の仕事をお手伝いしていたりもします。ちなみに、PARUSの事務局長の徳武は、映画業界出身でながく東京国際映画祭のディレクターをやっており、元々長野出身なんですが、PARUSの主旨に賛同して参加してくれました。今回の調印式で発表させていただいた「桜ヶ池クエスト」(注1)の運営もPARUSも参加してやっていきたいなと思っておりますし、今後海外に向けての情報発信も積極的に行っていきたいですね。

注1:サクラクエストの舞台として登場した桜ヶ池は、名前の通り桜の名所でもあるが、最近は傷んだ木々も目立つことから、地元の市民の活動の支援を『サクラクエスト』のファンたちとともに行い景観再生を目指すプロジェクト。

──海外発信という点に関して、今回の海外メディアを招き、南砺市・間野山市の姉妹都市調印式を含め、石川・富山のメディア向けツアーを企画されましたが、その経緯を教えていただけますでしょうか。

菊池:
 今回の企画は、JETROさんからのオファーをいただいたことがきっかけです。ご担当者から、インバウンド施策に対してご相談を受けた際、ちょうど湯涌温泉のぼんぼり祭り(10月8日)と本日の調印式(10月9日)が連日開催となるため、アニメ系や訪日外国人旅行者への発信力のあるメディアを中心に北陸エリアの魅力を取り上げてもらう良い機会だと感じましたので、ツアー企画を企画いただきました。

──石川県も富山県も、P.A. WORKSの作品である『花咲くいろは』や『ture tears』、『サクラクエスト』の舞台として、作中に登場しますね。

菊池:
 はい。ただ「アニメの舞台になりました」というだけだと、今はたくさんの作品があるため、ニュースバリューとしては弱いかもしれません。その点、湯涌温泉はTVアニメ『花咲くいろは』の舞台モデルとなっただけでなく、「ぼんぼり祭り」のように実際のお祭りとして7年も連続で開催され、現在も多くのファンの方々で賑わっています。こうした事例は珍しいのではないでしょうか。

 「アニメ作品の舞台になった」ということはもちろんよい影響を与えることもあるとは思います。ただ、地域振興という観点から考えると、アニメの放送が終わったあとも長くファンの方々に訪れていただきたい。つまりファンの方々に「地域のファン」になっていただく必要がある、ということです。地域のみなさんが本来もとめていらっしゃるのは、自分達の地域の魅力をしってもらい、その地域のファンになってもらうことではないでしょうか?
ですから、アニメの聖地巡礼などの盛り上がりもあくまで、その「きっかけ」にしていただければと思っています。

──コンテンツツーリズムを一過性で終わらせない、というのは永遠のテーマかと思いますが、なかなかうまく続いている事例が出てこないのはどういったことが理由なのでしょうか。

菊池:
 成功のためには、アニメと行政などの地域関係先側との連携は必須となるのですが、そこがそもそも難しい。基本的な話ですが、アニメ制作の流れと地域側の施策の流れではそのタイミングにおいて大きな違いがあります。例えば、アニメが放送されたタイミングで舞台となった町にファンの方々がどっと押し寄せたとします。いわゆる「聖地巡礼」です。地域側としては「これだけ人が来てくれるんだったらもっと何かできることがあるのではないか」と動き出すとするじゃないですか。でも動きはじめたとしても予算の確保やその手続きはすぐにできることではありません。それが形になる頃にはアニメの放送は終わっている。場合によっては翌年にならないと実施できないなんてこともザラにあります。アニメはアニメで、関係者たちは常に新しい作品に取り掛かっているので、放送が終了したらそれは「終わった作品」、目線は次の作品に向いているわけです。よほど思い入れの強い監督やプロデューサーなどの関係者がいないと、そこから地域側と足並みをそろえて、というのは難しいのではないかと思います。

──PARUSとして、今までいろいろな取り組みをされてきた中で、なにかしらそういった地域側との連動における知見はあったりされるのでしょうか。

菊池:
 あります……ありますが、ここでは話せないですね(笑)

──(笑)

菊池:
 リアルに『サクラクエスト』をやろうとすると、やはりいろいろ物語としては描けないリアルな面も生まれる、とだけ言っておきましょうか(笑) 地元の方たちは地元側で目指すことや様々な事情、そして流儀がある。それはアニメが好きとか嫌い以前にある大前提の話。単にアニメの流儀でぶつかりにいくのではなく、地域の方たちの諸々もある程度理解したうえで、結局どこに着地させ、実現、継続させるか、という話ですが、そこはやはり経験によりますよね。ですがやはり一番大切なのは、互いの信頼関係を築くことです。

──地方の方々は、アニメであろうとなかろうと、人が来て地域が潤ったらよい。アニメサイドはコンテンツとして盛り上がって人気が担保されたらよい。それぞれ見ている先が違うのだから、目指す先も違いますし、落とし所を現実的に探るべき、というのはおっしゃるとおりかもしれませんね。

菊池:
 当たり前ですが、Win-Winな関係でなければ特に継続性は成り立たないんです。

──今回の南砺市との調印式ですが、作品としては放送を終了した後での開催となりましたが、どのような意図があってのことでしょうか。

菊池:
普通なら放送中にやる事なんでしょうね(笑) ただ私自体、アニメ製作サイドの人間であるとともに、地元に根を下ろす地方人でもあるわけです。ですので、互いにとってなにかしらやる価値があるのであれば、そのタイミングはかならずしも放送中でなければいけないとは思っていませんでした。調印式を経て、今回発表した「桜ヶ池クエスト」に関しては、長期的な「クエスト」として成果を出していけたらいいなと思っています。ファンの方々にとっても、地域の方たちにとっても、そして作品製作側にとっても、それぞれにプラスになりますよ、という上手い落とし所を見つける必要がある。それを探ることができるポジションにいられることがPARUSの強みかもしれませんね。ただ大変骨が折れる作業なので、ほかの方たちにはあまりおすすめはしないです(笑)

──すこし話は戻ってしまうのですが、アニメ公開後に仕込んでも遅いのであれば、行政とアニメのサイクルをあわせるために、予めふたつの足並みをそろえて作品を公開するようなことはできないのでしょうか。

菊池:
 それができることが理想的かもともいえるのですが、現実的には非常に難しいのではないかな、と思います。特に弊社が手がけることが多い「オリジナル作品」の場合、物語自体が最終的にどの様に着地するかわからない製作途中段階で、「地域」「ファン」「製作側」それぞれにとって「良い企画」を「仕込む」のはかなり難しいと思います。
まぁ、アニメの聖地巡礼がブームのようになってくると逆に「舞台にしてくれんるんですか?ぜひぜひ!」、と地域の側から逆に前のめり?な期待もされるようになってしまったりもしているので、それも含めてなかなか難しいものだなと感じています(苦笑)

 特に最近は、コンテンツツーリズム自体に注目が集まり、経済効果という側面から様々な地域の方々からの熱い視線を感じることも増えました。
 
──「アニメの舞台になる」イコール「これくらい儲かるんでしょ?」と。

菊池:
 ありていに言えばそういうことです。なかには「こういう風に町を物語で取り上げてほしい」といった要望をいわれたりすることもあります(苦笑)
ですがそこまでいくとそれは作品というよりCMなので・・・逆に最初から観光CMとしてアニメで物語を作るということもやりました。南砺市さんからの観光アニメをつくりたいというご要望にお応えして、「南砺市に来ないと見られないオリジナルショートアニメ「恋旅 〜true tours NANTO〜」などはその例ですね。その場合でも、登場させたい場所や文化などのリクエストをいただいた上で、物語作りは我々餅屋にお任せいただきましたが。

──そういった苦労がありながらも、それでも地域振興に関わられるのはなぜでしょうか。

菊池:
 それはやはり、自分自身が地方生まれで現在も地方に住んでいるイチ地方人だからでしょうね。根底にあるのは、地方でもコンテンツのチカラでできることがあるのではないか、ということなのかもしれません。地方でもどんどんコンビニやフランチャイズの店やショッピングモールなどの進出で画一化していく中で、それでもそれぞれの地域に残る多彩な文化や歴史、価値観に目を向けてほしい。とはいえ、現実は目を向ければ、都会に若い人が流れていき、税収は下がり、「今までの暮らしが続くこと」がいつまで維持できるのか、という状況。

 こういった流れの中で、自分自身が地方のためにできることはなにか、と考えると、今いるポジションでできる「コンテンツを通じて地域を盛り上げる」ことを精一杯やるしかないわけで、ある意味そういった思いがぎっしり詰まった作品が『サクラクエスト』ですかね。

──『サクラクエスト』は、まさに菊池さんがやられているお仕事と非常にリンクしてくる作品であると思うのですが、菊池さんにとってどのような作品となったのでしょうか。

菊池:
 商業アニメーションとしては本当に挑戦的な作品を作らせていただいた、というのが素直な思いです。現実の地域のリアルな姿を捉えつつ、創作でありエンターテイメントでもあるアニメとのギリギリのせめぎ合いの中で、描いたものが『サクラクエスト』です。もちろん、エンタメとして割り切ったトンデモ展開をやれば別でしょうが。ただ、もちろんそういったことを私たちは望んでいなかったので、物語として現実的な説得力や納得感がある程度ありつつ、その中でアニメ作品としてのおもしろさを模索した結果、ああいった物語が生まれた、とも言えます。
サクラクエストはこのテーマでのアニメ化を提案したものの一人として、沢山の関係者の方に感謝しつつ、日頃アニメをご覧いただくことがない方にも是非ご覧いただきたい作品です。

──今後もコンテンツツーリズムは注目されていくことと思いますが、これから就職をひかえている学生・若者たちがコンテンツツーリズムに関わるためにはどのような方法論があると思われますか。

菊池:
 まず、『サクラクエスト』をぜひ観てください(笑)
ただ、作中で「よそ者、若者、馬鹿者は何かを変える」と言っていますが、気をつけなければいけないのは、コンテンツツーリズムに限らずそれぞれが目指す仕事や働きたいと思う企業においても言えることではないかとおもいますが、まずはそこにある歴史・文化・価値観に理解し尊重することから始まることだということです。
アニメなども使ったコンテンツツーリズムというとコンテンツで「それぞれの地域で何か新しいことを!」と思いがちかもしれませんが、重要なのは、「もとからそこにあった価値観を全否定し新く作るのではなく、大切にすることは大切にし、変えた方がもっとうまくいくことは変える」こと。
一見古い言葉かもしれませんが、「温故知新」の考え方を基本としなければうまくいかないと思います。『サクラクエスト』でいえば丑松会長やドク、千登勢、街の人たちが長く守ってきた価値観の中にも、大切にされてきたのには理由があったり、場合によっては本来の姿から離れて埋もれていた価値観の様なものもあったりもします。また、今の時代に生まれる価値観もあったりする。本当に大切にしたい価値観がなにかを再確認し残しつつ、変えていった方が良いものは取り入れる続ける必要があると思うのです。いわば「継承と更新」ですね。
コンテンツツーリズムの分野でもそれ以外でもそれを「若者・ばかもの・よそ者」と視点で行っていけるかが重要だと思います。

 まずそのためには実際に現場の声を聞かなくてはわからないこともたくさんあります。例えば、サクラクエストのなかで「シャッター商店街になることで誰かが不幸になっているわけではない」と切り込んでいますが、作品でとりあげて私自身もはじめて知りました。物語でそこに踏み込んだ作品は『サクラクエスト』以外ではないのではないかと思いますが・・(苦笑)
コンテンツツーリズムはそんな現実を理解しつつ、コンテンツとどう前向きな形で融合させるかが大切な仕事のひとつだと思います。

 Uターンであれ、Iターンであれ、これから地方でコンテンツツーリズムを目指す人たちに実地で学んでもらいたい、それらを知っている、経験している人たちと向き合ってもらいたい、ということです。そこが全てのスタート地点です。
 『サクラクエスト』でいえば、丑松会長たちのように先達たちにも若い頃があり、今までの挑戦の歴史がある。だとしたらまず最初にその話を聞きに行くべきだと私は思います。決して全てを語ってはくれないかもしれないけれど、それでもそうして先人の歴史を知ることで、やっと何が自分として新しくできることなのかを考えることができるんです。ただ、そうして方向性が仮に決まったとしても、その後も人脈や経験をひとつずつ積んでいくという地味で忍耐力がいる作業が待っている。一足飛びで何かができるほど生易しいものではない、という覚悟を持って取り組んでもらいたいですね。

 コンテンツツーリズムという言葉が独り歩きしている昨今ですが、あくまでコンテンツは地方活性のきっかけでしかない。生まれた種火を、どうやって広げていくのかという点に関していえば、本当に簡単なことではありません。思いが強ければうまくいく、というような話でもない。何を変えて、何を変えないのか。特に何を変えないのか、については最初に決めることが重要ではないかな、と自分自身の反省を込めてコメントさせていただきます(笑)

──ちなみにPARUSでは新卒の採用はされたりするのでしょうか。

菊池:
 現状ではメンバー全員が、自分のそれまでのスキルと経験を活かしてコンテンツを使ったあらたな仕事を創り出すために集まってもらっていますし、申し訳無いのですが、新人育成にあてるだけの余力がないのが実情です。待遇的にも決して良いといえるわけではないなかで、そういったプロのメンツが参加してくれているのはひとえに「面白い」と思える仕事がここにあるから。もしこのインタビューを読んでいる方々が、様々な分野でプロとして活躍されたその後も、その経験やスキルを活かして弊社で何かやることにご興味がおありであれば、扉を叩いていただけたらと思います。

まずは自分ができることをひとつずつ形にしていってもらえたらと思います。

──長時間、ありがとうございました!

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