【「アニメスタジオ」という会社】〜第0回連載開始〜

 「鬼滅の刃」が公開24日間で、興行収入204億円を突破した。2016年に公開された「君の名は。」の熱狂は記憶に新しいが、今回の熱狂の広がりは10,20代を中心としたメイン視聴層だけでなく、キッズや年配の方も含めた幅広い年齢の支持を掴んでいる。アニメは海外でも、人気が高まっている。日本のアニメ・ドラマ・漫画などのコンテンツ配信を行うCrunchyrollは、今年7月に無料登録者数が7000万人を超えた。また、世界的な配信会社大手のNetflixでは、ジャンル別の視聴数における世界ランキングでAnime(主に日本の商業アニメを刺す)が10位以内に入っていることが語られており、ファンタジーのような文脈理解に地域性や国民性の影響を受けることが少ない作品などは、将来的により多くの人に視聴されることが期待される。

 ただ、作品や日本のアニメそのものに対して人気が高まっている一方、作品には作り手がいるということを忘れてはならない。人気の高まりにともない、国内のアニメスタジオに対しては、アニメ化の依頼が多く舞い込んでいる。しかし、長年ブラック産業の代表と言われている業界である事実から他のコンテンツ業界に次の作り手となる若者が流れたことや、業界全体としてフリーランスが多く、若手、特にクリエイターに対して、教育的体制が整備されなかったなど複数の原因が多かれ少なかれトリガーとなり、アニメ業界は現在人材不足であると言われる。作り手不足と作品需要の増加の結果、作り手の数と作品の需要が歪な関係になっているのが、ある側面から見たアニメ業界の現状である。

 しかし、近年では働き方改革などの世相の影響を受け、アニメ業界も大企業を中心に改革が行われており、社員を中心に労働時間の縮小が進んでいる。また、冒頭で述べた「君の名は。」や、「鬼滅の刃」など、アニメを日頃から視聴するコアファンだけでない層へのアニメ人気の広がりはここ10年顕著であり、ここから10年、つまり視聴した彼らが社会人となる期間において、アニメ業界への潜在的な就活希望者が増えることが期待される。

 そこで、現在のアニメスタジオについて、どのような特徴を持った会社であるかを簡単に振り返るとともに、これから先のアニメスタジオの変化について、特に制作体制や、組織作りの観点に注目しながら連載記事としてまとめていきたいと思う。これから業界への就職の検討をしている方や、興味を持っている方に対してに少しでもアニメ業界に将来に入ることの具体像を与えられることを願い、書き進めていく所存である。

<ライター:浅井恵斗、 編集:数土直志>