『アニメビジネス完全ガイド』書評 ―まずはこの一冊で、アニメ業界の全体がスッキリ分かる。―

ワクワーク

アニメは好きだけど、アニメ業界に就職するってイメージがつかない。そもそもアニメ業界ってどんな構造なの? どんな仕事があるの? 産業規模が2兆円を超して成長してるとも聞くけど、なんとなくブラックなイメージもある。

『アニメビジネス完全ガイド』

このように思い、一歩踏み出せずにいる学生も多いのではないだろうか。
私も、以前はアニメ業界といわれてもいまいちピンと来ずに、インターネットの玉石混交な情報も信憑性が分からずに苦労した経験がある。

そんなあなたにお勧めしたい書籍が、『アニメビジネス完全ガイド』(星海社新書)だ。
著者である増田弘道氏は、『アニメ産業レポート』の編集長を務めているほか、現在は、ビデオマーケット常勤監査役として勤務する傍ら、専修大学、法政大学などで教鞭を執る。アニメビジネスの構造を講義するなど、実務でも講師としてもアニメビジネスのエキスパートだ。

そんな彼が、2018年5月25日に上梓した『アニメビジネス完全ガイド』は、新書でコンパクトながら、網羅的に日本アニメの現在をトータルに見渡すことができる良著だ。アニメビジネスの基本構造から2018年時点でのトレンド、また副題にもある「製作委員会は悪なのか?」のような、たまに耳にする噂話の実情までが述べられている。

本書は「Q1.アニメビジネスは成長しているのか?」「Q.3アニメはどのように作られるのか?」「Q6.アニメに携わる仕事とは?」など、すべてで6つの質問を軸に構成される。それぞれの質問に対し、その基礎的な知識から丁寧にデータからわかる事実をベースに分かりやすく解説してくれる。

中でも就活生、アニメ業界への就職に興味がある学生にとって非常に嬉しい点は、各セクションの具体的な企業名を多数掲載してくれているところだ。ビジネスモデルや、業界構造など抽象的、概念的部分の解説だけでなく、具体的な数字や企業名を掲載してくれている点は非常に参考になる。
特に第六章「アニメに携わる仕事とは?」では、アニメスタジオだけでなんと160社以上掲載されている。
美術・背景スタジオや音響・SEスタジオなど、一般視聴者にはあまり馴染みがないセクションでも各30社以上は掲載されていて、網羅性が高いことがうかがえる。

以上のように、アニメ業界について全く知らない段階から、アニメ業界の基礎的な知識をしっかりと身に付けることが出来るよう構成されている。本書は、まさにアニメ業界について知るための第一冊として選ぶべき入門書となっている。

一度読んで概念的な部分が理解できたとしても、企業名や人物名などの詳細な具体名に関して覚えることは難しいだろう。しかし、だからこそ手元に一冊おいておき、通読した後も必要な際に参照できるようにしておきたい。

ページ数も新書判で206pと決して分厚くなく、まずは気軽に読めるという点でもお勧めだ。アニメ業界について、全体を見渡し具体的な知識も得たい方、特にアニメ業界に少しでも興味のある学生の方はぜひ手に取っていただきたい。

文:内村修斗

『アニメビジネス完全ガイド』
著者:増田弘道
2018年5月25日発刊
星海社新書 206ページ
ISBN:978-4-06-512002-6
値段:940円(税抜)