「象徴の引退、そして次の世代へ。」from アニメライター講座

ライター:石井一成

作品「僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ヒーローズ:ライジング」

累計発行部数2,500万部を突破した「僕のヒーローアカデミア」(通称ヒロアカ)の劇場版第二弾。オールマイト引退後の時系列で描かれている今作は、1年A組のメンバー全員が活躍し敵〈ヴィラン〉・ナインと戦う物語となっている。そのため各キャラの成長が感じられ、推しキャラがいるファンにとっては非常に嬉しい作品だ。

また、主人公・出久が師匠であるオールマイトと肩を並べて敵を倒すシーンが見どころの前作に対し、ライバルでありクラスメイトでもある爆豪との共闘によって敵に立ち向かっていくところに力が入れらており、カップリングが好きな女性ファンにとってはより満足度の高い作品に仕上がっている。ナインもまた複数の個性を持っているため、「オールマイトvsオールフォーワン」と「出久&爆豪vsナイン」という構図を前作と今作で対比させている部分もファンにとって感慨深いポイントになる。

しかし、公開時期とアニメの放送時期とを比べた際に新技・デラウェアスマッシュの登場やワンフォーオールの歴代継承者に関する設定、新キャラ・ホークスの登場等、原作を読んでいないと理解できないシーンやネタバレになってしまうシーンも見受けられ、コアなファンにターゲットを絞っている印象を受ける。最終局面ではワンフォーオールの力によって出久と爆豪の姿が変わり、スーパーサイヤ人を思わせるような出たちになっていた。

ところが、原作者・堀越耕平が「原作の最終決戦でやりたかった」と語るストーリーだけあり、先の読めないラストシーンはまさに最終回かと思わせるようなアツい展開となっている。

本作は総じて、”平和の象徴”オールマイト引退以降の物語として雄英高校1年A組の次世代ヒーローたちが活躍することにより、原作の今後への期待をさらに高める役割を担っていると言って良いだろう。「やりたかった」最終決戦を劇場版で描いてしまった堀越耕平が原作をどのように締めくくるのか、胸が膨らむところである。

<編集協力:浅井恵斗>