「アルテ」夢を追いかけるすべての若者に向けたエール from アニメライター講座レビュー 

ワクワーク

ライター:内村修斗

今回紹介するTVアニメ『アルテ』は、2020年4月より放送が開始している作品だ。本作を、特にW@KU WORKのサイトメイン読者層と想定されるアニメ業界を志す就活生に勧めたい。

アニメ業界を志望する中で、「アニメが好きなだけではやっていけない」「本当にアニメ業界に進みたいのか?」「どうしてこんなところに来たいのか?」などと言われ心が揺らぐ、本当にこの道で合っているのかと悩む機会がそう少なくない。本作の主人公アルテは、女が自由に職業を選べず専業主婦の道しかないと言われている16世紀に、それでも女流画家を目指し奮闘する。そんな彼女の姿を、今回は特に第1話の内容とともに紹介する。

本作第1話から得られるテーマは「私が画家を目指す切実な理由とは何か」である。

主人公のアルテは、家を飛び出し画家工房の徒弟となるため様々な工房を回る。どこへ行っても「女だから」という理由で相手にすらされず、取り乱した彼女のもとへ現れたのは、まだ弟子のいない画家のレオだ。

レオは、彼女を女としてではなく、一人の人間として見てくれる数少ない人物の一人である。しかし、彼は貴族出身の彼女をいぶかしみ、遊びの延長線上で職人になりたいと思っているんだろうと感じる。そこで、彼女に「弟子になりたければ、テンペラの下準備20枚を一晩でやれ」と無理難題を突き付ける。

この条件で、甘ったれた思いで職人を目指しているアルテの心を折り、画家の道を諦めさせようとしたのだ。しかし、アルテは果敢にもその壁に立ち向かい苦難の末、これを達成してしまう。

その努力に度肝を抜かれたレオだったが、これに続けてアルテはこう口を開く。

「私、絵が好きだからって言っちゃったんですけど、ちょっとカッコつけすぎちゃったみたいで。私にとって職人になるというのは目的じゃなくて手段なんです。本当は気付いてる。絵が好きだなんてそんな綺麗な気持ちだけでここまで来たんじゃない。悔しかった。怒りさえわいてきて、それが私を突き動かしたんです。だから、私には絵しかないから。私は鳥かごの中で生きるより、どこかで野垂れ死ぬかもしれなくても、工房で学んで、自分自身の力で生きられる道を進みたいんです。」

ここに彼女の「画家になりたい切実な理由」があった。

彼女は「自分自身の力で生きられる道を進みたい」。そのためには、「私には絵しかないから」だから職人を目指すのだ。当然、この時代に女が身分を捨て画家を目指すということがどんなに大変かは、わかっている。きっと後悔するときもあるかもしれない。

しかし、彼女にとってはこのまま結婚しても絶対に後悔することも分かってる。同じ後悔なら自分が望むことをして後悔したい。彼女はここまでの覚悟をして、なお女流画家を目指すのだ。

これは、現在将来の道を決めようとしている読者にも共感できる部分があるはずだ。アニメ業界は決して楽な道じゃない。ブラックだとさんざん言われているし、給与面でも決して安心できる額がもらえる業界じゃない。お金を楽に稼ぎたいなら、それこそ「まともな生活をしたいと思ったら」アニメ業界は目指すべき場所じゃないのかもしれない。しかし、それでも業界の清濁を併せて吞む覚悟があるのだと胸を張って言えるなら、だれにその道を止められようか。

本作『アルテ』は、そんな覚悟をもって夢を追いかけるすべての若者に向けたエールだと理解する。今後アルテは様々な困難に見舞われることだろう。その時に周りの人は手を差し伸べてくれないかもしれない。そんな過酷な状況に至っても、決して明日を諦めず自分の道を自分で切り開くそんな姿に励まされ、時に自省をする。そんな風に本作と向き合っていきたい。

<編集協力:浅井恵斗>