アニメ業界を目指し、世界で戦う日本の若い世代の強みとは?

本日より、ワクワークのメディアアドバイザーを務めていただいているジャーナリスト数土直志氏による、定期連載記事企画を開始いたします。
今後アニメ業界で働かれる方たちに向けて、その時々によって潮流が変わるアニメ業界を、ジャーナリストの視点で切り取り、伝えていく企画となっておりますため、ぜひともご覧いただけたらと思います。(ワクワーク代表 中山)

数土直志といいます。普段はアニメに関する取材をし、文章を書いたりしています。
そのなかで「誰がこれからのアニメをつくるのか? 中国資本とネット配信が起こす静かな革命」(星海社新書)という本を出したこともあり、ここ1年ぐらい中国のアニメビジネス関係者とお話する機会が増えています。
そのなかには若い世代、20代のかたも少なくありません。

こうした若い世代は、これまで僕の持っていた中国のビジネスパーソンとだいぶ印象が異なります。
実は中国でビジネスというと、現実主義、お金に敏感というイメージがありました。理念や理想はやや後回し……ということも。アニメに限っても、アニメは好きでも詳しくもないけれど、とりあえずお金になりそうなので新規参入しました……といった感じも、少なからずありました。

ところが若い世代は、理想や夢を語ります。何よりも圧倒されるのはその未来志向。キラキラと光る目で語る彼らは、自分たちの成長と、中国が世界を圧倒する日を確信しているかのようです。
明るく、真っ直ぐで、前向き。ビジネスを離れても好感を持てる人たちです。

翻って日本の若者はどうでしょうか?
日本でアニメビジネスを目指す人たちも、理想と夢を持っていることは変わりがありません。熱い情熱を持っており、多くの人たちが愛すべき存在であることも同じです。
大きな違いは未来に対する考え方の違いでしょう。

中国のビジネスが戦線拡大であるならば、日本のアニメは防衛戦・撤退戦です。これまで築いたものをどう守るか(現在の資産をどう活用するかも含めて)が大きなポジションなのです。もちろん、世界を目指す気持ちは強いですが、どうしてもそこに目が行きがちです。

日本アニメが多くの国の作品に比べて、かなり世界に普及している現在の成功も大きな理由です。同時に他国の急激な追い上げや、日本経済全体の国際的なポジションの揺らぎも背景にあります。すでに始まっている日本の人口減少ひとつとっても、国内市場の成長に限界が見えています。
防衛線は先制攻撃に比べると、随分と地味な印象を与えます。投資やイノベーションにも慎重かもしれません。
では日本は世界のアニメーションのビジネスから置いていかれてしまうのでしょうか?

実は僕には「アニメの未来は中国にあり!」とも必ずしも思えません。
「日本が守りだけで終わってしまう」とも思えません。
明るい未来を信じて疑わない中国の若者たちに、あまりにも楽観的と感じることもあります。楽観は脇の甘さを生み、打たれ時にしぼみがちです。

一方で、初めから厳しい現状を認識したうえでビジネスに挑む日本の若者は、意外に打たれ強いのでないでしょうか。
そもそもこの圧倒的な人材不足の時代、若くて優秀な人材は引く手あまたなはず。敢えて厳しいとされる日本のアニメ業界に足を踏み入れるようとする人たちは、相当タフで、いい意味で変人ばかりです。新しいものを生みだす力をたっぷり持っているはずです。
日本のアニメ業界に明るい未来があるとすれば、きっとこうしたアニメビジネスを目指す若い世代にかかっているに違いありません。

その時に何よりも大切なのが、日本のアニメ業界がそんな若者の夢と情熱に応えられる場でないかと思っています。

< 数土直志 >

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